構われたいされど放っとかれたい

三十路主婦の雑多な日記です

『指人形』を読んだ

読んだ記録、2冊目にしてエロかいなというところですが。

官能小説の読書レポでございます。

 

『指人形』を私に薦めてくれたのは友人で

「最初の話で関西弁(京都)が使われてる部分が印象的、内容も面白い。しかし読んでいるとムラムラするから気をつけろ」

とどう突っ込んだらいいのか分からない紹介文と共に薦めてくれた。

そして第2子出産直前で気分転換を求めていた私、素直に購入。

しかも里帰り直前で外にも出づらく屋内にこもっている時に読んでいた。

友人も友人なら私も私だ。

 

花房観音著『指人形』は表題である『指人形』を含む短編集で、 一つの話が大体20~30ページ程度なのでまとまった話が読みにくい環境の方にもおすすめ。

官能小説の要である色気のところもしっかりしているので、内容が性的嗜好にさえ合えば楽しめるはず。

出てくる女性や致すシチュエーションについては、結構バラバラになっている。官能小説含めエロはシチュエーション命なのでこの話のシチュエーションや致し方は好みじゃないということは結構ありえるかもしれない。

 

私の感覚だけれど、官能小説は書かれている感覚的な部分をいかに身近に感じられるかというところがキーになってくるように思う。

その点で『指人形』はそれぞれ「匂い」とか「指」とか何か身体的に直結するポイントに絞ったところから入り込んで広げる内容の話があって没入しやすいように感じる。

ではそれぞれの話の一言感想を。「キー」としているのは私の考える話のフックになるところなのでただの個人の感想です。

 

『おばけ』

「匂い」がキー。夢心地で進んでいくストーリーなので、現実感が薄い方がエロに集中しやすい人に向いてそう。

 

花灯路

「主導権」がキー。女性側そんなことを意識するよりも別にステージにいるんだろうなという点も含めて小気味よい結末だった。

 

『指人形』

表題作。「指」がキー。登場人物が話し合ってる様子がリアルに想像できる雰囲気と色ごとが始まりそうなドキドキ感がある。

 

『奥さん』

「想像」がキー。読んでると途中から「そういうことか」は分かるけど、男性の方がうっすら分かってしまった部分に思いをはせるとより興味深い話。

 

『妻の恋』

「憧れと現実」がキー。どうしても人妻の目線で読んで「そういうことじゃなくない?」と思うところはあったんだが多分これは斜めから見ているからだと思う。NTR好きにはいいかもしれない。

 

『わるいうわさ』

「自立した淫蕩」がキー。個人的にこの主人公とても好き。話の終盤の「愛してる」が滑稽に聞こえてしまうのは私だけだろうか。

 

『美味しい生活』

「味覚」がキー。食とエロは繋がってるとはよく言ったもんだよなぁ。主人公がどんどん倒錯的な行動を取っていく様子に少しハラハラしながら楽しめる作品。

 

 

女性が京都弁で喘いでる描写を楽しみたい場合は『おばけ』『花灯路』がおすすめ。しかし京都が舞台だと、登場人物が道を歩いているイメージが浮かびやすいのは何なんだろう不思議。

 

私は官能小説を集中して読んだ経験が無いので分からないのだけれど、男性で自信を砕かれた登場人物が多いのも印象的だった。一方女性は少なくとも満足を得ている描写がほとんどなのでその点対照的に描かれているのだろうか。

 

表現の妙も含めて気分転換に読み返すと楽しめそうな小説でした。

さて、薦めてくれた友人には何て感想を言おうかな。